Dancer Interview 伊藤愛
2月4日、稽古終わりの衣装あわせの時間帯に楽屋に伺い、伊藤愛さんにお話を伺いました。 前回の公演をみていて、今回出演するという愛さんの気持ちと13人のダンサーが集まるというすごさをお聞きしました。
［話し手］
伊藤愛
ダンサー
詳しいプロフィールはこちらから。
［聞き手］
岩本順平
NPO法人DANCE BOX 広報担当
フリーカメラマン
＞美香さんとの出会いはいつでしたか？ 出会いは今回の稽古が初めてです。 もちろん以前からお名前は知っていたし、作品を一番最初に見たのは11年前の「薔薇の人」も含めた4作品の美香さんがソロでしている舞台でした。その後大阪のジャズズダンスも拝見しました。その後、1年、2年前にも東京で舞台を拝見しています。 ＞始めて作品を見たときの印象は残っていますか？ ジャズズダンスで言えば、知っているダンサーが出ていて、(美香さんに)料理をされている感じを受ける作品でした。どんな身体でも個性だけではなく、異なる体を出しているというイメージがありました。そして、見ている自分でさえも躍動してしまう、ドキドキしてしまう作品だった、という印象が残っています。 美香さんのソロの作品を見たときのその雰囲気は美香さんだけにしか出せないもので、ありのままの体をさらけ出していて、全ての作品に釘づけになったことを覚えています。 ＞美香さんの他の振付家の方と違うところを何か感じますか？ これまで私が一緒にお仕事いただいた振付家は表面的にどう動くかではなく、その人の体から何が出てくるか、ということをダンスとして作品にしている人と仕事をしてきました。美香さんの作品でも、引き出し方はとても美香さんらしいのだけど、同じように体の中から引きだし、使ったことがない回路もさらに踊らないといけないと感じました。 また今回は、13人もダンサーがいるので、ダンサーがどこまで体をさらけ出せるか、ここまで短時間で作品をつくるということで、今までの中でも特に濃い時間だと感じています。 ＞美香さんの稽古はどうですか？ 美香さんらしい言葉でダンサーの中身を引き出そうとしてくれているので、それが楽しいです。私は関西で活動していて、今回出演しているダンサーも仲良くさせてもらっている方ばかりなのに、一緒にお仕事することが今までほとんどなくて、それもすごく嬉しいです。 ＞美香さんの発する言葉で印象に残っているものはありますか？ 舞台に立って、ただ腰を振るという場面で、「舞台にただ入ってくるんじゃなくて、これまでダンサーとしてどういう風に自分が経験を積んできたり、踊ってきたか、これからどうやって踊っていくか、見せる場です」と仰った言葉が印象的です。この言葉はすごくシンプルなんだけど、そのシーンだけに限られたことではなく、すごく大切なことを改めて言っていただき、引きしまりました。 今回デュオがあるので、その時に「こういうモチーフでください」とか、そこの動きは「こういう感じ」でと言うひとつひとつの単語が面白いです。 ＞8年前のジャズズダンスは見ていましたが、今回は舞台に立っていますよね。何か思い入れはありますか？ 8年前もアンサンブルゾネというダンスカンパニーにいました。ちょうど活動しだして10年ぐらい経った時だったと思います。カンパニーの中で学んでいることが多い時期でしたが、その時にフェスティバルゲート時代のダンスボックスのいろいろな企画にアンサブルゾネの伊藤愛、というソロで作品を発表する機会をもらった時でした。カンパニーの中だけじゃなくて、外で作品を発表していくということをしていて、その時に今一緒に踊っているアダルトチームの人達とも出会いました。同世代の人たちもいたし、すでに活躍している人もいて、ジャズズダンスはその方たちを同じ作品の中で見る機会でした。 ＞その舞台に今回立っていますね。 お付き合いのある方たちと、舞台で一緒にやる、一緒にものづくりをする、ということがなかったので、一緒に楽屋とかにいたり、お稽古をしていても、どういう風に作品と向き合っているのか、というのを13人分見れるので楽しいです。カンパニーの中にいて同じ共通言語を身につけながら、向き合っているのとは少し違います。それぞれに経験があって、キャリアがあって、美香さんが言うようにどういう風にやってきて、どうなっているのか、ほんとにそれぞれじゃないですか。カンパニーだったらちょっと重なる部分もあると思うんだけど、方向性をそれぞれ持っていて、それを持っている13人が集まっていて、その中に入れてもらっているので、中途半端な覚悟でいけないな、と毎日思いました。 ＞最後に、好きなお酒はなんですか？ 今は、ビールが好きです。 ＞では、横浜で全ての公演が終わった時に、一緒に美味しいビールを飲めるのを楽しみにしています。ありがとうございました。
（撮影・文章：岩本順平）
