Dancer Interview 文

［話し手］

文

ダンサー

NPO法人DANCE BOX 事務局長

［聞き手］

岩本順平

NPO法人DANCE BOX 広報担当

フリーカメラマン

＞美香さんとの出会いを教えてください。美香さんとの出会い。出会いはトリイホールで上演した「薔薇の人（※１）」でした。内容は、訳分からん！延々ぞーきん、かけてはりました。もう何とも言えないというか、得体の知らない時間が過ぎていって、何がどうなっているか分からないけど、観てしまう。終わってからも、あれ何やったのかなという状態だったのが、公演が終わってからも延々尾を引くというか、ずうっと踊りが、というよりシーンの時間が、終わってからの時間がずうっと続くんよ。何やろう？って、それが一番最初の出会い。＞その終わってから、って言うのは舞台を観終わってから、ですか。そう、舞台が終わってから何日も。舞台観終わったすぐ後に感動したー！とは思わなくて、何かなって思ってたんだけど、延々残りました。何日も何日も。＞10年前のダンスボックスでのワークショップが、すごいインパクトがあったと聞いています。ワークショップってどんなことがあったんですか？「これが踊りです」と思っていることがあるのではないんだけど、踊りと思って踊っていても、実は踊っていない、踊りなんてどこにも生まれていないという事に気付かされました。＞その感覚は新たなものを見つけられた嬉しさがあったのか、それともこれまでやってきたことが否定されたような悲しさがあったんですか。悲しさではない、それは否定ではないと思います。勿論それまでやってきていることがあるから分かったことだと思います。まだまだ知らない事があるし、知らないとも分からないとも言えない何かでした。美香さんが言っておられることが、どこをどのように開けば、少しそこに近づくのだろうかということを、あがきながらボタンを押して掴んでいくことを試してみるしかないと思っていました。＞黒沢美香＆大阪ダンサーズ「ジャズズ・ダンス」について聞かせて下さい。私は制作とダンサーの両方の立場で関わっているから、新世界（大阪）でのダンスボックスの拠点劇場Art Theater dBが閉館する時のことでした。これまで濃い時間を過ごしてきた劇場の閉館が決まったので、何をやりたいのかっ考えた時に、やっぱり美香さんとご一緒したいと。ワークショップでの時間は残らないものだから、何か形に残したいと美香さんにお願いしに行くと「ジャズズ・ダンス」という演目があって、他にもあるけどと言ってくださったんですが、絶対に「ジャズズ・ダンス」がいいっ！て実現することになりました。今回の公演の結果はまだ分からないけど、今回出演するってことに対して思いはあります。今のところ形になってないのがくやしい（2月4日録音）、でも思いだけでは踊れない。

＞美香さんならではの公演、ほかの公演との違いはいかがでしょうか。ものを作るとか、振付けられたことがダンスになる訳ではない。結局どこに踊りがあんねん！という形を羅列したって踊りにはならないし、そこを上手にこなせて何かを成せたからって、踊りにはならないというのは徹底していると思います。踊りをずっとさぐり続けています。挑戦し続けることでしか出来ないし、そうでないと踊りは立ち現れないと思います。例えば下から上へ腕が移動する振り付けがあるとして、その下から上へは、そう簡単に移動出来ない、そこには理由があって筋道があるはず。それはひとつの振りを上手に踊ることを目指すことではないということ、ただ繋げれば踊りになる訳じゃないって思います。＞大阪ダンサーズと神戸ダンサーズの違いはいかがでしょうか？大阪の「ジャズズ・ダンス」は、始めに「このチームでやります」という土台があったこと、今回はダンスボックスでダンサーを誘って行うということですね。今回ここがすごく違うんだよね、

＞最後に、神戸の劇場に移ってから事務の仕事が忙しすぎてあまり踊ってる時間がなさそうに見えますが今後はどのように活動を継続していく予定ですか？それまでは千日前青空ダンス倶楽部からずっと動いてきたということもあったのですが、神戸に来てからぐっと減りました。でも現実は踊っていて、それは千日前青空ダンス倶楽部にしても今回の公演にしても踊るとなればそこにぐいっと行けるのは、外からは踊ってないように見えるかもしれないけどベースがある。趣味でもずっと踊り続けるだろうし、普通に踊っていきます。踊りは生きていくための方法かな。生きるというか仕事も生活も含めてかな。自分でなければならない必要性という考えがもしかしたら私には欠如しているのかもしれません。舞台の上で踊るダンサーにとっては、すごく欠如している部分かもしれません。美香さんって肯定しないと踊りなんて立ち上がらへんって、言ってはるんかなって思います。